ゴムクローラーの交換方法(建機用)


建設機械のショベルカー、ユンボ、バックホーや農業機械のコンバイン、トラクターなどゴムクローラーがついている機材のお手入れは難しく感じてしまいますよね。

 

業者に頼むのが一番ですが、近くに頼める業者がない場合やゴムクローラーが破損してしまって早急に修理しなければならない場合は、自分でゴムクローラーを交換しなければなりません。

 

ですが、初めて交換する人にとっては難しく感じますよね。

 

そこで本記事では、自分でできるゴムクローラーの交換方法について順を追ってご説明します。

1.必要な工具を準備する

ゴムクローラーの交換にあたってはまず、交換作業に必要となる工具を準備しなければなりません。必ず必要な工具についてみていきましょう。

 

・グリスガン

ゴムクローラーを装着後、グリスを注入するときに使用します。

・レンチ

ニップルバルブを緩める場合やゴムクローラーがボルトやナットで止められている場合に使用します。使われている部品によってレンチのサイズも変える必要があるので、部品に合ったサイズを選びましょう。

・ハンマーもしくは掛矢

使い続けてきたゴムクローラーはアイドラー内部に錆がついていたり泥が溜まっていることがあります。硬くなっている場合はハンマーや掛矢を使用します。

・カナテコもしくはバール

ゴムクローラー本体の脱着やフレーム内部に小さな石が挟まっている場合に使います。

・ジャッキベースもしくは角材

本体を持ち上げた後、降下を防ぐために機体をジャッキベースもしくは角材で固定します。

2.ゴムクローラーを取り換える前の確認作業

ゴムクローラーを取り換える前に、安全な場所に本体を移動させておきます。

 

本体を持ち上げる必要があるため、バランスを崩すと本体が倒れて事故が起こる可能性があります。そのため、できる限り平坦な場所を選びます。

 

また、交換場所は地盤がしっかりとしていると場所を選びましょう。地盤が土など柔らかい場所だと同じくバランスが崩れる可能性があります。可能であれば、アスファルトやコンクリートの地盤を選ぶようにします。

 

長期間使用し続けてきた本体とゴムクローラーは錆びついていたり石が挟まっていたり、泥が固まっていることがあります。

 

スムーズに作業をするために、あらかじめ機体本体の洗車やオイルスプレーを吹き付けておくと作業がしやすくなります。

3.ゴムクローラーを交換する10のステップ

準備ができればゴムクローラーを交換していきましょう。

 

本記事では、建設機械のゴムクローラーの交換方法を以下の10のステップに分けてご紹介していきます。

 

  1. 機体の片足を持ち上げる
  2. ニップルバルブを緩め、グリスを排出する
  3. ニップルバルブを取り除き、洗浄する
  4. ゴムクローラーをテコの原理で押し出して外す
  5. アイドラーを取り外し、足回りの状態・給油確認を行う
  6. スプロケット(駆動輪・山がある方)にゴムクローラーの芯金(リンク)を掛ける
  7. ゴムクローラーをテコの原理ではめ込む
  8. ニップルバルブを取り付け、グリスを注入する
  9. ゴムクローラーを張る
  10. ゴムクローラーに緩みがないかを試運転する

 

今回は初めてゴムクローラーを交換される方でも分かりやすいように、ステップを噛み砕いて説明しているので、ゆっくりと追っていきましょう。

 

ただし、危険な作業を含む交換になります。安全には十分ご注意の上、作業を進めて下さい。

ステップ1 機体の片足を持ち上げる

機体の片足を持ち上げるのイメージ画像です

初めに、ゴムクローラーを交換すべき本体の片足を持ち上げます。

 

まずは、コンクリートなどの強度がある平坦な土地に本体を移動させて、必ずエンジンは切っておきます。

 

そして、写真の様に機体自体で片足を持ち上げていきます。このとき、機体を高い位置まで持ち上げすぎると機体がバランスを失って倒れる危険があるので、ゆっくりと必要な分だけ上げていきます。

 

上げる高さとしてはゴムクローラーの大きさにもよりますが、最大で10cmほどゴムクローラーと地面との間に、隙間が出来れば十分です。

 

持ち上げたら、機体本体下に台座やジャッキベースなどを設置し、降下防止対策を必ず行って下さい。

 

作業をするときは、事故を防止するためにも機体を安定させ、降下防止ができるまでは、機体の下には潜り込まないようにしましょう。

ステップ2 ニップルバルブを緩め、グリスを排出する

ニップルバルブを緩め、グリスを排出するのイメージ画像です

では、ゴムクローラーを外していきましょう。

 

まず、ニップルバルブをレンチを使って緩めていきます。機体によってはバルブにカバー(蓋)がされていることもあるので、カバーを外します。このとき、錆がついていて硬く固まってしまっている場合があるので、少しずつ錆を落としながら作業をしてください。

 

ニップルバルブは必ずゆっくりと回すようにします。バルブの内部には高い圧力がかかっているため、勢いよくバルブを外してしまうと内部にあるグリスが飛び出してくる可能性があり危険です。

 

作業をする際は、ゴムクローラーの様子を確認しながら、ゆっくりとグリスを排出してください。

ステップ3 ニップルバルブを取り除き、洗浄する

作業を手順よく進めるために、取り外したニップルバルブをあらかじめ洗っておきます。

 

長期間にわたって酷使してきたゴムクローラーですから、ニップルバルブも傷んでいます。損傷がひどい場合にはニップルバルブを交換する必要がありますが、たいていは交換までは必要なく、既存のものを使いまわすことができます。

 

ただ、長期間にわたる使用のためニップルバルブ自体が錆びついていたり泥の汚れが固まってしまっていたりと、使いづらくなっています。そこで、市販されているパーツクリーナーに浸け置き洗いをしておきましょう。

 

浸け置きをしておくとゴムクローラーの取り外し作業の合間に汚れを落とすことができるので、取り付け作業のときにスムーズにゴムクローラーを取り付けられるでしょう。

ステップ4 ゴムクローラーをテコの原理で押し出して外す

ゴムクローラーをテコの原理で押し出して外すのイメージ画像です

ニップルバルブを外しグリスが排出されるとゴムクローラーが緩んできます。

 

機体にしっかりとついていたゴムクローラーが緩むと、ゴムクローラーと本体下部に空間が出てきます。

 

緩みが足りない場合は、ゴムクローラーを少し揺らしてずらしたり、アイドラー(誘導輪・山のない方)を押してみましょう。振動によって緩みができる可能性があります。

 

外す方法としては、内側から外側へ外していきます。このとき、十分な緩みがあって外れる場合は手で動かすと良いですが、歯車部分に引っかかっているときはゴムクローラーをゆっくりスライドしましょう。

 

ゴムクローラーは重さがあるため手では外しにくい時もあります。その場合は、長めの金属パイプを機体の内側から入れ込んでゴムクローラーを浮かせます。このとき、接触部分を支点としてテコの原理を使うと楽に外すことができます。

ステップ5 アイドラーを取り外し、足回りの状態・給油確認を行う

アイドラーを取り外し、足回りの状態確認を行うのイメージ画像です

古いゴムクローラーが外れたら次は新しいゴムクローラーを設置する作業に移ります。

 

機体の前方には、アイドラーが設置されています。まずは、アイドラー部分を外して足回りの状態確認を行います。

 

アイドラー近くには泥汚れがこびりついたり錆が固まっていたりするので、落とせるものは取っておきましょう。アイドラーを扱う時はかなり重量があるため、破損がないか確認するときは素手ではなく必ず軍手などを装着して行います。その際、落下などに注意しながら作業しましょう。

 

新しいゴムクローラーを付けてしまうと、もう一度点検するのは大変なので、この段階でしっかりと状態を確認しておきましょう。

ステップ6 スプロケット(駆動輪・山がある方)にゴムクローラーの芯金(リンク)を掛ける

足回りの確認が終われば次は新しいゴムクローラーのセッティングです。

 

新しいゴムクローラーは機体に合うように、必ずサイズを確認しておきます。

 

機体によってはゴムクローラーに方向性(前後)が決まっています。装着する前にはゴムクローラー方向性(前後)を合わせて機体の横に起きます。建設機械(ユンボ・ショベル)の場合はアイドラーがついている方が前側になるので置く場合は機体の前後を確認しておきましょう。

 

新しいゴムクローラーを掛ける際はますスプロケット(駆動輪・歯車のある方)にゴムクローラーを掛けます。芯金(リンク)を中心部分に合わせるようにして中央部分をはめ込みます。

 

反対側はこのまま直接、ゴムクローラーをはめ込むことは難しいので、まずはアイドラー横にゴムクローラーを引っかけます。

ステップ7 ゴムクローラーをテコの原理ではめ込む

ゴムクローラーをテコの原理ではめ込むのイメージ画像です

先ほど掛けたゴムクローラーを外したときと同様にテコの原理を使ってはめていきます。

 

外す際は機体の内側から金属のバールや棒などを入れ込んでゴムクローラーを外しましたが、はめ込む際は、機体の外側からゴムクローラー内部にバールや棒を入れ込んで機体の内側へと向けてゴムクローラーを押し込んでいきます。

 

このとき、押しすぎるとスプロケットからゴムクローラーが滑り落ちて外れる可能性があります。力加減に注意しながらはめ込むようにしましょう。

 

ゴムクローラーを外すのにコツが必要だったのと同様、はめ込むときにもコツが必要です。

 

ある程度はまっているけれどはまりきらないという時は、エンジンをかけて、少しだけゴムクローラー部分を回転させます。但し、手や足を挟む可能性があるため十分に注意しながら作業を行いましょう。

ステップ8 ニップルバルブを取り付け、グリスを注入する

ニップルバルブを取り付け、グリスを注入するのイメージ画像です

ゴムクローラーが機体にはまっているかをもう一度確認します。

 

このとき、スプロケット側とアイドラー側の両側がともにしっかりとゴムクローラーがはまっていることを確認しておきましょう。

 

そして、ニップルバブルを取り付けます。

 

取り外したときに浸け置き洗いをしたものがあるかと思うので、よく乾燥させたうえで取り付けます。ニップルバブルが濡れたまま装着してしまうと、酸化してしまい再び錆がつく原因になります。錆がつくと次回の交換作業が大変になるので、注意しておきましょう。

 

ニップルバルブをメーカー指定トルクにて必ず締め付けを行った後、グリスを注入していきます。

 

グリスの注入にあたっても慎重に作業を進めましょう。注入しすぎるとゴムクローラーが張りすぎてしまうので、ゴムクローラーの張り具合を見て調整しながらグリスを注入していきます。

ステップ9 ゴムクローラーを張る

ゴムクローラーを張るのイメージ画像です

次に、ゴムクローラーの張り具合を調整します。

 

グリスの注入量でゴムクローラーの張り具合を調整するのですが、本体下部にあるトラックローラーとゴムクローラー本体の中心部との間に10mm~20mm程の間ができるようにします。

 

あまりに強く張りすぎてしまうとせっかく交換したゴムクローラーに傷をつけたり、機体自体を損傷させてしまう可能性があります。また、緩めに張っている場合は、ゴムクローラーがさらに緩んでしまい、動かしているうちに外れてしまう場合があります。

 

ご自身が機体を利用する路面によって、遊びの量を調整することが大切です。

 

また、新品のゴムクローラーを装着した後、しばらく利用しているうちにゴムクローラーが伸びてきます。装着後すぐだけでなく、しばらくはこまめに調整して、ゴムクローラーが緩みにくくしておきましょう。

ステップ10 ゴムクローラーに緩みがないかを試運転する

ゴムクローラーを張り終わったら、次はきちんと装着できているかの最終確認です。

 

広い場所に移動して試運転を行いましょう。このとき、異音がないか、変な振動はないかなど、普段の運転と変わったところがないかを注意して確認します。前後進など、数メートル試運転し異常がない場合は、ゴムクローラーが無事に取り付けられていた証拠です。

 

試運転が終わったら、交換作業に使った場所のごみや泥汚れなどをきれいに掃除し、工具などの手入れをしておきましょう。

 

ゴムクローラーの装着時はしっかりと機体についていても、使用することで伸びたり縮んだりすることがあります。使用頻度に応じて、外れかけていないか伸びて緩んでいないかなどを定期的に確認してください。

※注意
一部危険を伴う作業です。安全には十分注意の上、2人以上で作業を進めてください。

まとめ

ゴムクローラーの交換方法は難しいイメージですが、実は手順は簡単です。

 

ただ、一部の機械では、アイドラーの調整が上記のグリス式ではなくボルト式になります。作業方法は基本的には同じです。

 

錆びが酷い場合や損傷がある場合は、無理な交換作業は行わず最寄りの修理工場やメーカーにお問い合わせ下さい。


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